All I do is poetry. Remember, the attitude or the action is the poetry, that is one of the important factors in my philosophy of poetry.

All I do is poetry. Remember, the attitude or the action is the poetry, that is one of the important factors in my philosophy of poetry.

「詩とは態度であるPoetry is a state of being」ヨナス・メカス

永方佑樹
NAGAE Yuki

2019年 詩集『不在都市』で歴程新鋭賞、2012年 詩と思想新人賞を受賞。執筆活動の他、水等の自然物やデジタルを使用し、詩を立体的に立ち上げる立体詩を国内外で展開(仏サン・レミ美術館等)。近年は「MIND TRAIL 奥大和 心のなかの美術館」(2020・吉野)や「紀ノ国トレイナート」(2017,2018,2021・和歌山)等、多数のアートフェスティバルに参加する一方、自らもライブ・ポイエーシス=詩制作パフォーマンス「おと/ずれる言語」(2019・三鷹「SCOOL」)やサウンドアートプロジェクト「GeoPossession 声のトポス」(2022・東京)、「時の襞―私たちはここにいる Pleats of Time -We are here」(2022・米アイオワ大学)等を企画。環境や社会を詩の眼差しで解体し、詩的媒体としてのテクノロジーで再構築する、領域を横断した様々な詩の形・捉え方を提案する。2022年秋、米国国務省教育文化局の助成でインターナショナル・ライティング・プログラム(IWP/ アイオワ大学)に参加。名古屋芸術大学非常勤講師。

執筆 écriture

2012年 、詩と思想新人賞を受賞。2016年第1詩集『√3』を刊行。2019年、第2詩集『不在都市』で歴程新鋭賞。


立体詩

Steric Poetry means, three-dimensional poetry

エクリチュールの形式に細まっている詩の現在。その統一の過程で振り落とされ、失われていったもの。肌触りが冷めきった言語の根源。その手触りを手招きし、体感可能な形へと立体的に立ち上げる行為が、立体詩です。写真やオーディオ等のテクノロジーを、時間や空間を接続する詩的メディウムとして使用。時に水等の自然物も媒介させつつ、発声や身振りを筆記と等しく身体的な行為として結びつける、原初の詩の解釈による表現を、国内外で展開しています。

1.Present

カメラの長時間露光を「世界を眼差す形而上的な時間の目(詩の目)」として使用。人間の視覚の尺度を拡張し、一種の「形而上的な目」で世界を眼差した時、どの存在が記録の中に留まり、どの動きが取り残されて、あたかも「無かった事」とされるのか。同じ景色を動画と長時間露光画とで同時に撮影し、それらを二重写しにする事で、異なる時間の尺度による世界の表れを視覚化すると同時に記録の冷酷さ、記憶の曖昧な不確実性を露わにしてゆく。

(サンプル動画①: 古都・奈良の道沿いに暮らす住人と文通し、彼らの道についての記憶、音、写真を元に、道の現在の姿をマッピングしてゆく「Geo-Letterジオレター ―窓をかぞえる―」奈良2021
サンプル動画②: 水で描いては消えてゆく習字練習用の紙を使用し、神保町の「今」の声をTwitterから収集する等しつつ、街の現在を「詩」の感触でつまみ上げ、露わにしにしてゆく「水知ー都市の袖を濡らす言びら」檜創建at神保町2022)

*前半は約10分間のマッピング動画(早送り)の上に、その間シャッターを開いていた長時間露光の静止画をオーバーラップさせているので、どの瞬間がこの時間軸の「目」に留まり、どの瞬間が無かったものとして失われているのかをつぶさに目視出来る仕様となっている)

2.痕跡Vestiges

8ヶ国語で構成されたビジュアルポエトリー「不在都市」(第2詩集『不在都市』表題作)を、声の痕跡を聞き取り、世界言語として再構築するデモンストレーション。その過程で露わになるのは、母語に支配された聴覚と偶然性により決定づけられる言語コミュニケーションの欠陥である。

(サンプル動画:2022アイオワ大学での実施。ダンスデパートメントとのコラボレーションする事で、いったん世界言語で再構築した詩をさらにダンサーの身体が反射し、その身振りを再び断片的な言葉として書き取っていって、最終的に立ち上げた詩を翻訳機を使用し、日本語から英語へと同時に変換してゆくこの実施は、言葉の幾つもの可能性の中からたったひとつを選択してゆく、「翻訳」という行為のデモンストレーションでもある)

3.身体と詩の
パフォーマンス
“Elle me raconte
(She tells me)”

日本とフランスという、言語や文化の異なる両国の差異を言葉や身体・水を通して抽象的、あるいは具体的に溶かしてゆくデモンストレーションであり、その過程や結果で詩が製作されてゆく、ライブクリエーションパフォーマンス。 日本から持参した水と、フランスで採取した水を混ぜ合わせ、「異なり」の溶けた水を元にして墨を作ってゆく、第一段階のソリューション(溶解)。その墨を使用し、書き終えた詩のフランス語を水に溶かすのが第二段階のソリューションである。 異なりが溶け、フランス語の詩語も溶けた水は、再び墨の材料とする事で、新たな言葉を生み出す源となる。 とはいえ、その墨を使用して書き上げた日本語の詩も、書き終えた直後に水に溶かしてしまえば、一見ただの水である。 だがその中には、異なる大地を巡り、異なる場所に湧き出でた水が混ざり合い、それらに育まれた個々の身体と、違う言語とが、境を無くして溶け合っている。
「私たちの異なり、距離、格差は、身体や言語を通して溶解(ソリューション)してゆく。それは水に似ているが、水そのものではない」

あらゆる差異が溶け、それを表現した詩も溶けて、一つになった「水」そのものが、このパフォーマンスで制作した最終的な「詩」である。

Art gallery "TANCHOIR" in Reims, France. 2018

Saint-Remi Museum in Reims, France. 2018


Curation through POETRY THINKING

詩的思考によるキュレーション

環境や社会を詩の眼差しで解体し、詩的媒体としてのテクノロジーで再構築する「詩的思考によるキュレーション」も、詩を行為する上での大事な活動の一つです。

1.ライブ・ポイエーシス=詩制作パフォーマンス「おと/ずれる言語」

詩人、多言語話者、文化人類学者、比較文学研究者をパフォーマーとして採用。詩の歴史を遡行し、多言語で発話してゆく事で人類が言葉を発見し、言葉が詩となってゆく黎明期から現在までを声や身体、パフォーマンス的に撮影する「目」でなぞるように表現。途中、詩論を発話で解体する批評的パフォーマンスや、機械言語での即興詩を経て、それまで辿ってきた言葉の中から観客が選んだ限定的な言葉を使用し、詩へと再構築してゆくライブ制作をTwitterに記録した。なお、耳が聞こえない観客のため、AR(拡張現実)も実験的に採用している。

2.GeoPossession 声のトポス

詩、小説、戯曲、歌詞。十四人の言語表現者のポイエーシス(創作)を呼び覚ました土地(Geo)に、作者の肉声で作品を憑依(Possession)させ、さらにその明記の記憶を鑑賞者の五感に憑依させてゆくサウンドアートプロジェクト。バイノーラルレコーディングやジオポジショニングシステム等、最先端のテクノロジーを詩的媒体として使用し、土地を依り代にした様々なもの(創作行為や記憶、作者の声や身体の気配)を詩的に体感する、言語と呼応し合う「場」の記憶を四次元的に追体験してゆくサウンドアートプロジェクト。※協力Kalkul

3.時の襞
Pleats of Time -We are here

バイノーラルレコーディングやジオポジショニングシステム等、最先端のテクノロジーを詩的媒体として使用する「時の襞Pleats of Time -We are here」は、忘却に対する抗議、時間の不可逆性への挑戦として、インターナショナル・ライティング・プログラムIWP2022Fall Residentの「現在」を半永久的にアイオワ大学の土地に留める、IWP2022モニュメンタルプロジェクト。作者の瞬間の身体性が永遠に保存され、体験者の鼓膜に貼りついてゆくと共に、目の前の景色を別の時間の気配がうるおしてゆく、たわんでゆく時間の襞に生まれる「詩」のような手触りの体感でもある。※協力Kalkul

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